言葉は生き物なので、正しい日本語などというものもなければ、間違えた日本語もない。
ということは、当然踏まえた上で。
それでも敢えてオーソドックスな日本語という観点から。
「有権者の皆様にお訴えさせていただく」というのは、まあ、たしかに、間違い。
訴えるのは自分なので、その行為に「お」を付けるのはおかしい、と言えなくはない。
ただし、候補者という明らかに下の立場の者が有権者という明らかに上の立場の者に「政策の訴え、支持を求める訴え」を差し向ける場合、その手渡すものに「お」を付けるのも、正誤はともかく、不自然ではない。
自分が願うのに、相手に対して「お願いします」というのと同じ。
ともかく。
話者の言わんとする内容も、そこに込められた気持ちも十分に伝わるにもかかわらず、言葉遣いの揚げ足をとるような者のことはスルーしておけばよい。